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前嚢収縮・後発白内障の発症機序と予防方法の解明
 白内障手術の術後成績はすばらしく、現在は手術によってほとんどの患者さんが視機能を改善することができますが、術後しばらくすると前嚢収縮や後発白内障などの術後合併症を生じることがあります。発生した場合の治療方法はありますが、獲得した視機能をできるだけ長く保つために、これらの合併症を抑制するプロジェクトが進んでいます。
前嚢収縮
 前嚢収縮は術後6カ月までの早期に生じやすいことが知られています。サイトカイン放出や上皮‐間葉系移行による線維芽細胞の出現、細胞外基質コラーゲンの産生は、術後早期に亢進するためと考えられています。落屑症候群、ぶどう膜炎、糖尿病、高度近視、硝子体術後などでは前嚢収縮が進行しやすいことがわかっています。
 最近では、眼内レンズの材質や形状によって発生しにくくなることがわかっており、今後の研究進歩が期待されています。
後発白内障
 後発白内障は、術後早期に発生する前嚢収縮と同様に上皮‐間葉系移行が原因である線維性混濁と、術後晩期に発生する水晶体嚢内に残存した水晶体上皮細胞が再増殖することが原因であるゼンメリング輪状白内障、エルシュニッヒ真珠などに分けられます。糖尿病網膜症、ぶどう膜炎、アトピー白内障、落屑症候群、網膜色素変性、高度近視では後発白内障が発生しやすいことが白内障診療ガイドラインで報告されています。
 眼内レンズ光学部エッジ形状が鋭利であることが後発白内障の発生予防に有効であることはよく知られていて、現在市販されている眼内レンズに応用されていますが、完全な抑制はまだできていません。最近の研究によって、眼内レンズの形状を工夫したり、科学的に眼内レンズ表面の性状を改質して後発白内障を抑制する取り組みが行われています。
 
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