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白内障の症状とメカニズム
 白内障は、眼の中にあるレンズである水晶体が濁った状態です。この水晶体の中心が濁る核白内障、さらに周囲が濁る皮質白内障などさまざまな種類があります。このような混濁の種類や程度によって出てくる症状もさまざまです。代表的な症状には、①見えにくい・かすんで見える、②二重・三重に見える、③眼鏡やコンタクトレンズの度数が変わる、④まぶしい、⑤目が疲れる・頭痛がする、などがあります。これら症状とそのメカニズムについて説明していきます。
① 見えにくい・かすんで見える
 光が一点に集まらない現象を収差(しゅうさ)と呼びますが、白内障では、濁りのない透明な水晶体に比べて、眼の中に入る光がきれいに集まりにくく、この収差が増加します。収差の種類によっては、眼鏡やコンタクトレンズで屈折矯正できないため、結果的にぼやけたり、明暗差がわかりにくかったり、かすんで見えたりします。
白内障と見えにくさ(イメージ)
② 二重・三重に見える
 同じく白内障の濁り方によっては、像が二重・三重になってしまう収差が発生します。ものが二重・三重に見えるような訴えは、複視と呼びますが、単眼で生じるのが特徴です。白内障で乱視が増えることがあり、その場合には眼鏡やコンタクトレンズで矯正できますが、上述の屈折矯正できない収差の場合もあります。
③ 眼鏡やコンタクトレンズの度数が変わる
 白内障があると光の屈折状態が変化します。その結果、眼鏡やコンタクトレンズの屈折度数が合わなくなったり、裸眼の方は、見えやすい距離が変化したりすることがあります。この度数の変化は、白内障の種類によって変わります。核白内障では、屈折変化が大きく、近視の方は、近視が強くなったり、遠視の方は、遠視が弱くなったりします。皮質白内障では、その逆に変化することが多く、近視が弱くなったり、遠視が強くなったりします。「眼鏡を作ったせいで眼が悪くなった」という方の中には、実は白内障の進行が原因であることもあります。
④ まぶしい
 白内障の混濁領域は、光の速度変化が大きく、光が曲がりやすくなります。その結果、混濁領域に光がぶつかると散乱(さんらん)といって光が散らばる現象が起こりやすくなります。この散乱光が網膜のいろいろな領域を刺激し、まぶしさを生じさせることがあります。ただし、なぜこのような感覚が生じるかといった詳細なメカニズムは完全には解明されていません。
白内障とまぶしさ(イメージ)
⑤ 目が疲れる・頭痛がする
 上述したような見えにくい状態で作業をすると、いわゆる目が疲れるという眼疲労がおこったり、さらには肩こりや頭痛をともなう眼精疲労が生じたりします。
 また、白内障が進むと水晶体が厚くなります。眼の中には房水という水が流れており、水晶体が厚くなることで、この水が通る隙間が狭くなり、流れが悪くなります。その結果、眼の中の圧力(眼圧)が上昇し、頭痛や吐き気を生じさせたり、最終的には視神経を障害し、視野が欠けたりします。
 
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