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6月白内障啓発キャンペーン
Cataract — Q & A

白内障に関するよくあるご質問

患者さまへ — 白内障の基本と治療について

Self-Check

あなたの見え方チェック

気になる項目はいくつありますか?以下のチェックリストで、白内障の初期サインをセルフチェックしてみましょう。

Q.01

白内障とはどのような病気ですか?

A.

白内障は、目の中でカメラのレンズに相当する「水晶体」が濁ってしまう病気です。水晶体は本来、無色透明でやわらかく、ピントを合わせる役割を担っていますが、加齢やその他の要因によってタンパク質が変性し、白く濁ったり黄色く変色したりします。

濁った水晶体を光が通過しにくくなるため、次のような症状が現れます。

  • 視界全体がかすんで、もやがかかったように見える
  • 太陽光や車のヘッドライトを極端にまぶしく感じる(羞明)
  • 明るい場所より暗い場所のほうが見やすく感じる
  • 物が二重・三重にぶれて見える
  • 眼鏡の度数が合いにくくなり、頻繁に作り替えが必要になる
  • 色の鮮やかさが失われ、全体的に黄ばんで見える

最も多いのは加齢に伴う「加齢性白内障」で、80歳以上ではほぼすべての方に何らかの変化が認められます。そのほか、糖尿病などの全身疾患、ステロイド薬の長期使用、外傷、紫外線の長期曝露、アトピー性皮膚炎、先天的な要因なども原因となります。初期は自覚症状がないことも多く、定期的な眼科検診で早期に発見されるケースも少なくありません。

Q.02

白内障は自然に治りますか?

A.

残念ながら、白内障は治りません。年齢とともに少しずつ進行します。これは、水晶体内のタンパク質が変性した結果生じる不可逆的な変化のためです。

ただし、白内障の進行スピードは人によって大きく異なり、数年単位でゆっくり進む方もいれば、半年から1年で急速に進行する方もいます。そのため治療方針は、濁りの程度よりも「日常生活でどれくらい困っているか」を重視して決められます。

具体的には、

  • 経過観察 — 視力低下が軽度で日常生活に支障がない場合は、定期的に眼科で検査を受けながら様子を見ます。
  • 手術治療 — 視力低下が日常生活に影響を及ぼし始めた場合に検討されます。現在のところ、白内障を根本的に治療する唯一の方法は手術です。

放置しても命に関わることは基本的にありませんが、進行しすぎると手術が難しくなったり、緑内障などの合併症を引き起こす場合もあるため、医師と相談しながら適切なタイミングを判断することが大切です。

Q.03

点眼薬で治りますか?

A.

現在のところ、濁ってしまった水晶体を透明に戻したり、視力を回復させたりできる点眼薬は存在しません。

日本ではピレノキシンやグルタチオンを成分とする点眼薬が、白内障の進行を遅らせる目的で処方されることがあります。これらは水晶体タンパク質の変性を抑える働きが期待されていますが、

  • 濁った部分を透明に戻すことはできない
  • 進行を完全に止めることはできない
  • 効果には個人差があり、明確な視力改善は見込めない

という限界があります。そのため点眼薬は、あくまで「進行をゆるやかにすることを期待する補助的な治療」と位置づけられています。視力低下が進んで日常生活に不便が出てきた場合は、点眼を続けるのではなく、手術による治療を検討する段階に入ったと考えるのが現実的です。

Q.04

手術は痛いですか?

A.

白内障手術は、ほとんどの場合「点眼麻酔」または必要に応じて「テノン嚢下麻酔」(白目の表面に少量の麻酔薬を注入する方法)で行われ、痛い手術ではありません。多くの患者さんが「思っていたよりずっと楽だった」とおっしゃいます。

手術中の感覚としては、

  • 目の周りを触られている感じ
  • 水で洗われているような感覚
  • 明るい光がまぶしく感じる
  • ときどき圧迫感がある

といった程度で、切られているような痛みを感じることはほとんどありません。

手術時間は片眼あたり10〜20分程度と短く、横になっている時間を含めても30分ほどで終わります。手術中は会話もできますし、不安な方には軽い鎮静剤を併用することも可能です。術後しばらくはゴロゴロとした違和感や軽い充血が出ることがありますが、強い痛みが続くことは通常ありません。痛み止めの内服薬が処方されることもあります。

Q.05

手術は入院が必要ですか?

A.

近年は手術技術と機器の進歩により、多くの施設で日帰り手術が標準となっています。朝に来院し、手術を受け、術後の状態を確認したうえで当日中に帰宅できます。

日帰り手術の場合は、必ず翌日に来院していただき、診察を受ける必要があります。これは術後の安全を確認するための重要なステップです。

翌日診察が必要な主な理由は次のとおりです。

  • 手術直後は眼帯で覆われているため、見え方や眼の状態をその場で十分に確認できない
  • 翌日に眼帯を外し、視力・眼圧・創口の状態・炎症の程度などを医師がチェックする
  • 感染症(術後眼内炎)など、まれに起こりうる早期合併症を見逃さないため
  • 点眼薬の使い方や生活上の注意点を改めて確認するため

そのため、日帰り手術を受ける際は、翌日の通院手段をあらかじめ確保しておくことが大切です。特に術後しばらくは片眼に眼帯をしていたり、点眼薬の影響でまぶしさを感じやすかったりするため、ご自身での車の運転は避け、ご家族の送迎や公共交通機関の利用をおすすめします。

その後も、術後3日後、1週間後、2週間後、1ヶ月後といった頻度で経過観察の通院が必要になりますので、生活スケジュールに余裕をもって手術日を決めましょう。

短期入院を選択する場合

一方で、以下のような場合には2〜3日の短期入院を選択する施設や患者さんもあります。

  • 高齢で術後の点眼管理が難しい
  • 遠方からの通院で頻回の受診が困難
  • 持病(糖尿病、心疾患など)があり、術後管理に注意を要する
  • 片眼ずつではなく両眼を続けて手術する場合
  • 患者さんご本人やご家族が入院を希望される場合

どちらの方法でも手術自体の内容や安全性に大きな違いはありません。術後は点眼薬を1〜2ヶ月程度継続し、激しい運動や洗顔、洗髪については一定期間制限がありますので、医師の指示に従ってください。

Q.06

手術はいつ受けるべきですか?

A.

白内障手術のタイミングに「この視力になったら手術が必要」という決まった基準はなく、日常生活でご本人がどれだけ不便を感じているかが最も大切な判断材料になります。

たとえば次のような変化を感じ始めたら、手術を検討する一つの目安と言えます。

  • 運転中に標識や信号が見えづらい、対向車のライトがまぶしくて夜間運転が怖い
  • 新聞や本の文字が読みにくくなった
  • テレビの字幕やスマートフォンの画面が見えにくい
  • 趣味(手芸、ゴルフ、楽器演奏など)が以前より楽しめなくなった
  • 眼鏡を作り替えても見え方が改善しない
  • 段差や階段が見えにくく、転倒の不安がある

職業や生活スタイルによっても適切なタイミングは異なります。たとえばドライバーやパイロットなど視力が職業要件に直結する方、細かい作業を行う方は早めに検討することもあります。逆に外出が少なく現在の見え方に支障を感じていなければ、急いで手術する必要はありません。

また、白内障が極端に進行すると水晶体が硬くなり手術の難易度が上がること、緑内障などの合併症リスクが高まることもあるため、定期検査を受けながら主治医とよく相談して時期を決めることをおすすめします。

 眼内レンズについて 
Q.07

眼内レンズとは何ですか?

A.

眼内レンズ(Intraocular Lens、略してIOL)は、白内障手術で濁った水晶体を取り除いた後に、その代わりとして目の中に挿入する人工のレンズです。

主な特徴は次のとおりです。

  • 素材 — アクリルやシリコンなどの生体適合性の高い柔らかい素材でできており、目の中に長期間留置しても安全に機能するよう設計されています。
  • 大きさ — 直径6mm程度のレンズ部分と、目の中で固定するための支持部(ループ)から構成されます。折りたたんで小さな切開創(2〜3mm程度)から挿入し、目の中で広がるしくみです。
  • 耐久性 — 通常、一度入れたレンズは交換する必要がなく、生涯にわたって使用できます。劣化することはほとんどありません。
  • 位置 — もとの水晶体があった「水晶体嚢」と呼ばれる袋の中に固定されるため、目の中で安定します。

眼内レンズが挿入されたあとは、自分の目で物を見ているのと同じように自然に視覚情報が脳に伝わります。レンズを意識せずに生活できる方がほとんどです。

Q.08

どの眼内レンズでも同じですか?

A.

いいえ、眼内レンズには複数の種類があり、それぞれ「どの距離にピントが合うか」という見え方の特性が異なります。代表的なものは以下のとおりです。

  • 単焦点レンズ — 一つの距離(遠く、中間、近くのいずれか)にピントを合わせるレンズ。最も広く使われており、保険適用の対象です。ピントが合った距離では非常にクリアに見えますが、それ以外の距離は眼鏡で補正する必要があります。
  • 乱視矯正(トーリック)レンズ — 乱視を同時に矯正できるレンズ。乱視の状態に合わせて使用します。
  • 多焦点レンズ — 遠くと近く、あるいは遠く・中間・近くの複数の距離にピントが合うレンズ。眼鏡への依存を減らせるのが利点ですが、コントラスト感度がやや低下したり、夜間に光の周りに輪が見える(ハロー・グレア現象)ことがあります。日本では選定療養または自由診療となります。
  • EDOF(焦点深度拡張型)レンズ — 遠くから中間距離までを連続的に見やすくする比較的新しいタイプ。多焦点レンズに比べハロー・グレアが少ないとされます。

それぞれに長所と短所があり、「最高のレンズ」というものは存在しません。患者さんの目の状態、生活スタイル、見え方の希望に応じて最適なものを選ぶことが大切です。

Q.09

自分に合う眼内レンズは選べますか?

A.

はい、患者さんご自身の希望と医師の診断をもとに、相談しながら選択できます。眼内レンズ選びの際には、以下のような点が判断材料になります。

生活スタイルに関する質問の例
  • 普段、どの距離を見ることが多いか(車の運転、パソコン作業、読書、手芸など)
  • 眼鏡をかけることに抵抗があるか、慣れているか
  • 夜間運転をする機会が多いか
  • 仕事の内容(細かい作業、屋外作業、運転業務など)
  • 趣味やスポーツ(ゴルフ、釣り、楽器演奏など)
目の状態に関する検査
  • 角膜の形状や乱視の有無
  • 網膜や視神経に他の病気がないか
  • 瞳孔の大きさ
  • ドライアイの程度

これらを総合的に評価したうえで、たとえば「運転と読書を眼鏡なしで両立したい方」には多焦点レンズ、「コントラストの高い鮮明な見え方を重視する方」には単焦点レンズ、というように提案がなされます。費用面(保険適用か選定療養か自由診療か)も重要な要素ですので、遠慮なく医師に確認してください。

Q.10

多焦点眼内レンズは誰でも使えますか?

A.

多焦点レンズは眼鏡への依存を減らせる魅力的な選択肢ですが、すべての方に適しているわけではありません。以下のような場合は適応が慎重に判断されます。

多焦点レンズが向きにくいとされるケース
  • 緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症などの網膜・視神経疾患がある
  • 強い乱視や角膜の不整がある(矯正可能な場合もあります)
  • 瞳孔の大きさや形に異常がある
  • 夜間運転が多く、ハロー・グレア現象を許容しにくい職業の方
  • コントラストの厳密さが求められる仕事(画像診断医、デザイナー、プロドライバーなど)
  • 完璧な見え方への期待が非常に高く、わずかな違和感も許容しにくい方
多焦点レンズの利点
  • 遠近両方が見やすく、眼鏡なしで生活できる場面が増える
  • ライフスタイルの自由度が高まる
多焦点レンズの注意点
  • 単焦点レンズに比べてコントラスト感度がやや低下することがある
  • 夜間に光がにじんだり、リング状に見えるハロー・グレア現象が起こりうる
  • 脳が新しい見え方に慣れるまで、数週間〜数ヶ月の適応期間が必要なことがある
  • 多くの場合、選定療養または自由診療となり費用負担が大きい

そのため、事前の精密検査と、医師との十分な相談が非常に重要です。白内障の手術適応と選ぶ眼内レンズのタイプ、ピント合わせの位置は、患者さんの目の状態と生活スタイルで大きく違います。必ず担当医と納得がいくまで相談してください。ご自身の目の状態とライフスタイルに本当に合っているかを見極めたうえで手術を受けることで、満足度の高い結果につながります。

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ご不明な点やご心配なことがありましたら、お気軽に診察時にご相談ください。
※ 本ページの内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療方針に代わるものではありません。実際の治療については、必ず担当医にご相談ください。
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